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東京都立杉並工科高等学校

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2024/03/19 学校行事

創立60周年記念式典

 

3月6日(水)昨日から降る雨もやみ春の気配を感じさせる日、創立60周年記念式典を本校体育館で行いました。
多くの来賓の方々や保護者の方々にお越しいただき、第一部で式典を、第二部では記念荻窪祝祭管弦楽団による記念演奏会を行いました。

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校長式辞

 

 一雨ごとに少しずつ暖かさが増し、春の訪れを予感させる今日の佳き日、ここに、多くのご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席を賜り、東京都立杉並工科高等学校創立六十周年記念式典を挙行できますことは、この上ない喜びであり深く感謝申し上げます。

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 本校は、昭和三十七年一二月、この地、杉並に設立され、翌年、昭和三十八年四月に第一回の入学式を挙行しました。創立当時の日本は、高度経済成長期で、工業技術の進歩・発展は目覚ましく、工業技術者の需要も急増した時代でした。工業高校生への期待は大きく、工業高校における技能教育が脚光を浴びていました。

 その後、六十年の年月が流れ世の中の状況は大きく変化しました。今や一人一台コンピュータを持ち歩き、何か行動を起こすときにはSDGsが求められる、六十年前では想像の世界でしかなかった時代が訪れました。時代の変化に伴い、工業高校への社会のニーズも併せて変化してきました。

 創立当初は、石油資源に依存した産業構造による社会のニーズから、「機械科」「電子科」とともに「工業化学科」を置き、高校生急増期に対応するため、機械科は四クラス、電子科二クラス、工業化学科二クラスの八学級規模で教育を行っていました。

 創立からおよそ四十年後の平成十八年には、石油依存からの脱却が大きな社会問題となり、そのニーズから「工業化学科」を「理工環境科」に改編し、平成十六年に取得したISO14001を活用した環境教育を、他校に先駆けて行うことになりました。また、普通科志向が高まり、工業高校入学者数が減少する中で、クラス数を減らし、機械科二クラス、電子科二クラス、理工環境科一クラスの五学級規模で教育を行っていました。

 そして、創立五十年から今日までの十年間は、急速なデジタル技術の発達や未曽有の感染症蔓延など変化が激しく先行き不透明な時代となり、工業高校に対する社会のニーズもこれまでと大きく異なり、教育の在り方の転換が求められました。また、全国的に少子化が進み、東京都においては都立校離れ、工業高校離れに拍車がかかり、工業高校に人が集まらない状況が続きました。本校は、令和三年に電子科を一学級減らし、機械科二クラス、電子科一クラス、理工環境科一クラスの四学級規模としましたが、それでも定員は満たせていません。

 このような社会の変化の中で、令和四年二月、東京都教育委員会は、Society5.0を支える工業高校の実現に向けた戦略「Next Kogyo START Project」を立ち上げ、今の時代のニーズに合った魅力ある工業高校の実現に向けて動き出しました。その一環で、東京都のすべての工業高校の名称は、今年度から工科高校に変わり、本校においては来年度から「機械科」「電子科」「理工環境科」の三科体制を、DX人材・GX人材を育成することを目的とした「IT・環境科」の一科に学科を改編し、教育課程を大学へ進学するためのものに変更することになりました。

 時代とともに変化を遂げ、一万人以上の卒業生を輩出してきた杉並工科高校は、六十周年を迎えたこの機に、大きな転換期を迎へました。しかし、杉並工科高校の教育の根幹である「ものづくりの心を持ったエンジニアを育てる」。この理念は、どんな時代においても変わりません。これまでもこれからも脈々と受け継がれていくと考えています。

 

多様な文化を共生し、価値を育む杉並の地
歴史を重ね時代を映す工科の学び舎
集う我ら大志を抱き
温故知新 革新と進化
夢を叶える 若きエンジニア
未来を創る杉並工科高校
未来を描く杉並工科高校

 

 歴史と伝統に支えられた杉並工科高校は、これまでも、これからも、社会に貢献する若きエンジニアを育成してまいります。

 結びに、創立以来本校の教育に多大なるご支援とご協力をいただきました地域の方々、同窓会、PTAの皆様に厚く御礼申しあげます。また、歴代の校長先生をはじめ、多くの教職員の皆様のたゆまぬ努力に敬意を表すとともに、感謝を申し上げます。
そして、本日ご臨席の皆様方に御礼を申し上げるとともに、今後とも本校の教育に御理解とご支援を賜り、末永く見守りいただくことをお願い申し上げ、式辞といたします。

 

令和6年3月6日
 東京都立杉並工科高等学校長 高野学