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こんにちは、食品デザイン分野です。
今回からは、2学期後半から3学期前半にかけて取り組んだ本授業の目玉、
『りんごの模刻』の授業の様子を、2回に分けてご紹介します。
りんごは、アダムとイブの物語をはじめ、
セザンヌ・ゴッホ・モネなど多くの作家が作品に取り入れてきた、親しみ深いモチーフです。
そんな“定番”だからこそ、観察力や表現力の差がはっきり表れる題材でもあります。
◆『りんごの模刻』の工程
① スケッチ・着色
立体制作の土台となる観察スケッチを行い、着色まで仕上げます。
あわせて、鉛筆・透明水彩・アクリルガッシュなど、
画材による表現の違いについて学びます。
② 削り出し・研磨
実物のりんごとスケッチを参考に、
スタイロフォーム製の角材(※断熱材としても用いられる発泡スチロールの一種)を、
ヒートカッターやカッターナイフで削り出します。
やすりで角を落としながら、少しずつ丸みを整えていきます。
③ 下地塗り(ジェッソ)・研磨
形が整ってきたらジェッソを塗り、やすりの番手や種類を変えながら研磨
を数回繰り返します。
④ アクリルガッシュによる着色・ニス仕上げ
※こちらは次回の記事でご紹介します(後半もお楽しみに!)。
◆授業の様子(前半)
生徒一人ひとりに本物のりんごを用意し、
色や質感、香りまで感じ取りながらスケッチを行いました。
デッサン室内には「おいしそう!」という声も上がり、
ワクワクした雰囲気の中で授業がスタートしました。
特別専門講師の先生からは、
「りんごの形を捉えるときは、まず五角形に落とし込む」
というアドバイスもあり、
生徒たちは初めて聞く視点をそれぞれのスケッチに反映させていました。
また、立体を制作するうえで欠かせないのが「三面図」の考え方です。
今回はプロダクトデザインの基礎にも触れながら、
りんごをさまざまな角度から観察し、
3つの面をそれぞれ異なる画材で表現しました。
透明水彩に初めて触れる生徒も多く、不透明水彩との違いに戸惑いながらも、
丁寧に仕上げていく姿が印象的でした。

◆角材から、りんごへ
次に、スケッチと実物を見比べながら、角材からりんごの形を削り出していきます。
削り過ぎないよう慎重に手を動かし、角度を変えて凹凸の違いを確認しながら、
少しずつ“本物らしさ”へ近づけていました。
丁寧な仕上げに欠かせないのが、手に馴染むよう工夫された当て木と、
用途に合わせて細かく裁断されたやすり(サンドペーパー)です。
この当て木は昨年度まで在籍されていた機械の先生に制作していただいたもの、
やすりは今年度、機械や食品の先生方が使いやすいように協力して裁断してくださったものです。
授業の準備や技術の積み重ねが、今回の表現につながっています。
目には見えない仕事こそ、生徒たちの未来の形を変えます。
誰かが残した小さな工夫が、別の誰かの挑戦を支え、次の創造へつながっていきます。
人の手が加わるたび、作品には想いが積み重なります。
デザインの学びは、ひとりでは完成しません。

◆そして、白いりんごが完成
最後はジェッソを塗り、再びやすりがけ。
表面が少しずつ整い、つやっと光る“白いりんご”に仕上がっていきました。
地味な工程ではありますが、形が実物に近づくほど達成感も増し、
周囲の生徒の作業スピードまで引き上げていく様子が見られました。
授業前から準備して研磨を進めたり、休憩時間や放課後も作品と向き合ったりと、
完成度を上げようと努力する姿が印象的でした。

さて、一人ひとりの個性が表現された、かわいらしい白いりんごたち。
最終的にはどんな風に色づくのでしょうか?
次回(後半)の記事も、ぜひお楽しみに!
食に近い題材から造形へ。
中工食品サイエンス科だからこそできる学びがあります。
手を動かし、見て、考えて、つくることが好きな人。
食品デザイン分野で、一緒に“つくる力”を育てていきましょう。