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キャリア・カウンセラー通信

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キャリア・カウンセラー通信 4号 総合学科での学びを考える(4)

 前回のキャリア・カウンセラー通信第3号では、総合学科高校における科目選択の意味について、「生涯学習社会」で活躍するために、生徒一人一人の興味・関心等に基づいて主体的な学習を促し、それぞれの個性を最大限に伸ばすことで、生涯にわたって継続的に学習する意欲や態度を育成することを目指しているという内容のお話をいたしました。しかし、生徒が自分の個性や適性を理解せず、将来への明確な目的意識も持たないまま科目を選択した場合、結果的に十分な学習効果が得られない可能性が出てきます。このことは、「普通科高校に比べ上級学校の進学に対応できないのではないか」、「専門学科高校に比べ専門性が深まらないのではないか」といった、総合学科に対する不安としても出されることがあります。さらに「総合学科は『おかゆ科目(取り組みやすい内容だが、学習効果に疑問がある科目という意味で使われることが多い)』を提供する学校」と表現され、批判されることもあります。

 では、生徒一人一人の興味・関心等に基づいて主体的な学習を促し、それぞれの個性を最大限に伸ばすために何が必要なのでしょうか。総合学科高校では「産業社会と人間」、「総合的な学習の時間」における課題研究(若葉総合では「マイプロジェクト」と称している)の授業を重視しています。

 若葉総合高校の「産業社会と人間」の授業では、年間を通して、自分の個性や適性を見つめ、自己の将来の職業選択について考え、さらには自分の人生のライフプランに向き合う機会をもうけています。具体的には、上級学校や職業に関する調査やグループワーク、外部の方をお招きしたガイダンスや校外学習などを行っています。また、「マイプロジェクト」の授業では、選択科目等の学んでいる授業に関するテーマ、または自己が目指す進路に関するテーマを設定し2年間に渡り研究することで、授業での学びをさらに深めることまたは自己の進路についての知見を広げることを目的にしています。現在、高大接続改革の一環で大学入試改革の検討が進められています。その柱の一つが、学んだことを理解する力だけではなく、知識を活用する力や学びに向かう姿勢も入試で評価するという方向性が示されています。「マイプロジェクト」のような授業は、知識を活用する力や学びに向かう姿勢を育てる効果が期待できると各所で評価されており、実際に若葉総合高校においても、この授業の研究成果が上級学校の入試で評価され、進路実現を果たしている生徒が少なくありません。

 次回は、この「マイプロジェクト」でどのような研究が可能なのか、過去の生徒の事例を紹介しながらご説明したいと考えています。

 
 キャリア・カウンセラー通信 3号 総合学科での学びを考える(3)

 今回は総合学科高校での科目選択の意味について、見ていきたいと思います。

 まず、総合学科高校が設立された背景には、今後、社会が急速にかつ大きく変貌していくことが予想され、生涯にわたって継続的に学習する意欲や態度を育成し、社会の変化に自ら対応できることが重要という考え方があります。このような社会の状況のことを、一般的に「生涯学習社会」と呼んでいます。この「生涯学習社会」で活躍するために、生徒一人一人の興味・関心等に基づいて主体的な学習を促し、それぞれの個性を最大限に伸ばすことで、生涯にわたって継続的に学習する意欲や態度を育成することを目指しているのが総合学科です。
 そして総合学科最大の特徴が、普通教科および専門教科の中から自分の興味・関心のある科目を選んで学ぶ、または、自分が目指す進路実現に向けた科目を選んで学ぶ、選択科目を中心としたカリキュラムです。

 では、具体的に生徒がどのように選択科目を選んでいるのか、若葉総合高校でよく見られる4つのケースをお話したいと思います。
 一つ目は、「人間探求系列のスポーツ分野に取り組みたい」、「芸術表現系列の美術に取り組みたい」など、ある特定分野を専門学科の高校のようなイメージで科目を選ぶケース、二つ目は、「美術分野を主に学びたいがビジネス・情報分野にも興味がある」、「保育分野の授業を中心に学びたいが、音楽分野や演劇分野にも興味がある」など、複数の分野を横断的に学びたいというケース、三つ目は、「自分は何に向いているのか、またどのような進路を目指せばよいのか分からないので、興味・関心のある授業を幅広く学びたい」など、選択科目を通じて自分探しをするケース、四つ目は、上級学校一般入学試験に向けて、学力試験が課せられる科目の授業を中心に選択するケースです。

 このように、生徒が自分自身で目標を定め、目標を達成するために何を学ぶのかを考え、選択科目を自分で選び学ぶ経験、普通教科だけではなく多彩な専門科目を幅広く学ぶことで価値観を広げる経験ができる点が、総合学科教育の要であると一般的に言われています。
 ただ、こうした説明に対して、「このような学び方で上級学校の進学に対応できるのか」、「広く浅くしか学ぶことができず、結局中途半端な学びに終始してしまうのではないか」というご心配の声を頂くことがあります。次回はこの点についてお話をしたいと思います。



2号 総合学科での学びを考える(2)(総合学科に対する疑問について)

  
 総合学科とはどのような学校かという質問に対して、一般的に「普通科で主に学ぶ共通教科と、専門学科で主に学ぶ専門教科の中から、自分で科目を選択し学ぶ第三の学科」と説明しますが、この説明に対して中学生やその保護者の方々から、「普通科に比べて大学等の受験に対応できないのではないか、もしくは専門高校にくらべて専門分野が深められないのではないか」という疑問をいただくこともあります。この疑問に対して、「確かに普通科と比べて一般入試に対応した授業の時間数、専門学科に比べて高度な資格取得や専門技術を習得する授業の時間数が不足しているところがあるかもしれません。ただし、今日、大学等の上級学校や社会が求めている『学力の三要素』を育てる環境が、他の学科よりも充実しています。」とお答えしています。この理由をお話しする前に、まずは「学力の三要素」について説明します。

 「学力の三要素」とは、「基礎的な知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等の能力」、「主体的に学習に取り組む態度」の3つの要素のことです。今日、グローバル化や人工知能の発達等、世の中を取り巻く環境は早いスピードで大きく変化し、将来の予測が困難な社会と呼ばれていることはすでにご存じの方も多いと思います。このような背景から、「学力の三要素」が重要視されています。次に各要素について見ていきます。「基礎的な知識・技能」とは、各教科等において習得する知識や技能だけではなく、習得した知識や技能を相互に関連付けて活用する力を含んでいます。「思考力・判断力・表現力等の能力」とは、習得した知識や技能を活用して自ら課題を発見し、その解決に向けて探究し成果等を表現する力です。「主体的に学習に取り組む態度」は、学習者が主体的に学習に取り組む姿勢がないと、「基礎的な知識・技能」や「思考力・判断力・表現力等の能力」が身につかないという視点から求められています。

 総合学科では、幅広い分野の授業の学びを通じて、「基礎的な知識・技能」の定着を図っていきます。また、「産業社会と人間」や「総合的な学習の時間」の授業における課題研究を中心に、「思考力・判断力・表現力等の能力」を高めています。さらに総合学科最大の強みは、自己の興味・関心や将来の目標に基づき、生徒自身が数多くの選択科目を選び、学びを深めることで、「主体的に学習に取り組む態度」を養っている点です。私はこれらの特徴をお話ししながら、「学力の三要素」を育てる環境が充実していることを説明しています。

 次回は、総合学科高校の選択科目の意味についてお話ししたいと思います。


 

1号 総合学科での学びを考える(1)(他の学科と比較する)

 
 私は若葉総合高校でキャリア・カウンセラーを務めている桜井と申します。この度本校のホームページ上で、キャリア・カウンセラー通信を始めさせていただくことになりました。中学生とその保護者の方を中心に、広く総合学科高校にご関心のある方にお読みいただき、本校に対してよくご質問を頂く「総合学科高校とは一体どのような学校か」というご疑問にお答えできればと思います。これから定期的に更新してまいりますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。

 早速ですが、総合学科高校とは一体どのような学校でしょうか。今回は他の学科との比較から、総合学科の学びの特徴について触れたいと思います。既存の普通科高校では教養を深めることを、専門高校では特定分野の知識や技術を深めることを得意にしています。それに対して総合学科高校は、教養の幅を広げることやさまざまな専門分野の知識や技術を紹介することを得意としています。また、生徒自身が自分の時間割を作るため、自分の興味・関心のある分野の授業を重点的に学ぶことも可能です。その興味・関心を深め上級学校の進路へと繋げるために、「産業社会と人間」という授業で卒業後の進路や職業について考えることや、若葉総合では「マイプロジェクト」と呼ばれる課題研究の授業で自己の興味・関心を探究する機会を設け、キャリア教育の充実を図っています。

 次回は、総合学科高校に対してよく寄せられる疑問についてご紹介いたします。

 

 
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