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東京都立杉並工科高等学校

ニュース

2023/01/17 お知らせ

全国初の「プラスチック油化システム」が始動しました!! 5

 

 理工環境科 

 

プラスチック油化システムの課題研究の続きです。
(前回の記事は こちら

 

前回までの研究結果から、ペットボトルのキャップから油化により、約80%を再生油にすることができた。
さらに、その再生油を蒸留することにより約20%の粗製ガソリンが得られた。
粗製ガソリンは、比重測定やガスクロマトグラフィーによる定性分析の結果から、ガソリン成分に近いものだと分かった。

 

しかし、ここで私たちの研究は終わらない。
「校内の廃プラスチックを活用し、ハイスクール油田によるエネルギー産出」を目標としてきた。
私たちが作った粗製ガソリンが実際に使えなければ、この研究は完結しないのである。
学校から持続可能な社会の構築を目指すことが目標で、何としても結果を出したいところである。

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そこで、私たちの作製した粗製ガソリンが実際に使えるのか、ガソリン用の小型発電機を動かしてみることに挑戦した。

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取扱説明書をよく読み確認。

20230117_油化装置システム3

発電機のタンクに粗製ガソリンを入れる。(貴重な粗製ガソリンを少量入れた)

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紐を強くひき、エンジンを始動する。
しかし、何度引っ張ってもエンジンはかからず・・・。

 

私たちが作製した粗製ガソリンではだめなのか・・・。
勇気と願いを込めて、エンジンスターターの紐を何度か引く、
すると白煙を上げて、発電機が動き出した。
一同「オーッ。」と興奮したのもつかの間、エンジン音が大きくなったり少し小さくなったり、燃焼が安定していない様子。
そして、40秒もしないうちに突然停止。

 

粗製ガソリンの量が少なかったからか・・・。
それとも、ガソリン成分が粗悪でうまく燃焼できなかったのか・・・。
この日は、ここで終了。

 

後日、2度目のチャレンジ。
今度もなかなかエンジンがかからない。
そして、パーンという異音を生じ、皆がビビッてフリーズ。
しばらくの沈黙。
重い空気の中、担当教諭がスターターの紐を握り、力強く一気に引くと、
ブルルンとエンジンがかかり、白煙が少し出る。
生徒は、あわててドライヤーを発電機のコンセントにさし、スイッチを入れる。
発電ボタンが点灯しておらず、ドライヤーからも風は吹かない。
一旦停止。全員暗い気持ちで終了。

 

発電機を作動してから、エンジンが安定し、発電ボタンがついてから落ち着て行えばよかった。
最初の異音から少し、皆が焦っていたのかもしれない。

 

気を取り直して、後日3回目のチャレンジ。
粗製ガソリンを追加して、スターターの紐を引くと一発でエンジンがかかった。
するとすぐに発電ボタンが緑色に点灯。
あわてて、ドライヤーを発電機のコンセントにさし、スイッチをオン。
ドライヤーは、心地よい風を作り出し、笑顔の班員たちの前髪を力強く揺らした。
「やったー。」「やったー。」両手を上下に振って喜ぶ班員たち・・・。

 

大きな達成感と仲間との絆を感じ取れた瞬間。
本当に「青春は密なので・・・。」

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20230117_油化装置システム6

ついに、「校内の廃プラスチックを活用し、ハイスクール油田によるエネルギー産出」という目標を達成した班員、君たちは本当によくやった!!
さまざまな失敗を何度も繰り返し、仲間と協力して乗り越えた。
これが3年間の学習の集大成である「課題研究」の素晴らしさ、工学という学びの楽しさだと感じることができた。

 

11月19日(土)に第29回東京都高等学校工業科生徒研究成果発表会での発表が決まっていたが、発表直前でなんとかなった・・・。

 

工業科生徒研究成果発表会での様子は、番外編で報告予定。

 

まだまだ、終わらないぞプラスチック油化班!!
頑張れプラスチック油化班!!