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令和3年度入学式校長式辞

令和三年度 第七十六回東京都立新宿高等学校入学式 式辞
 
 ただいま入学を許可いたしました318名の諸君、入学おめでとう。
 諸君が今この晴れの場にあり、これからの新宿高等学校における学校生活に対し希望で胸を膨らませていることができるのは、諸君の努力もさることながら、諸君を常に励まし、共に悩み、共に前に進み続けてくれた、保護者の皆さん、家族、これまで教えをいただいた学校の先生方や友人のおかげであることを、まずは感謝をもって胸に刻んでいただきたいと思います。
 また、諸君らが本校を志望し、力を尽くして勉学に取り組んだ昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で人々が不安と恐怖におののき、経験したことのない変化の年でありました。諸君も昨年度は、休校措置などで不安な毎日を送ったり、きたるべき高校受験に向けていらだちや焦りを感じたりしたのではないかと思います。しかし、諸君はそのような誰もが体験したことのないような苦難に耐え、高い志を維持し、努力することで、伝統ある新宿高校への入学という栄冠を勝ち取りました。諸君は本当にがんばりました。心から敬意を表したいと思います。
 しかし、本校への入学をもって満足をしてはなりません。古人曰く「勝って兜の緒を締めよ」と。
 
 さて、諸君が入学した、新宿高校は大正十年、東京府立第六中学校として創立されました。
 本年には創立百年を迎え、令和四年度にはこれを記念する式典が予定されています。諸君はこの節目の時に、本校に在ることになります。
 本校は「全員指導者たれ」という校是のもと、大正、昭和、平成、令和と四つの時代を歩んできました。
 この間、古くは関東大震災や第二次世界大戦、新しくは東日本大震災や昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大など、その時代、その時代の多くの苦難を乗り越え、日本や世界の指導者たるにふさわしい人材を送り出してきました。今、諸君はこのようは輝かしい伝統を引き継ぐ人材となるべく、スタートラインに立ちました。
 現在の社会は知識基盤社会であり、新しい知識・情報・技術が、社会のあらゆる領域での活動の基盤として、非常に重要となっております。加えて、この知識・情報・技術をめぐる変化は加速度を増しています。また、グローバル化の進展などによって、一つの出来事が広範囲かつ複雑に伝搬し、社会の変化を正確に予測することはますます難しくなってきています。
 このような社会に在って、諸君は指導者たるにふさわしい資質と能力を磨いていかなければなりません。これからの指導者は、時代や社会の変化に敏感であり、即応できる柔軟性を持たなければなりません。ともに働く人々を強くけん引するというよりも、困難をともに乗り越えられるよう、チームにまとめていくリーダーでなければなりません。そして、指導者すなわちリーダーに求められるのは、周りの人々に目標とされ、尊敬されるとともに、そうある努力を惜しまない人物であります。さらに、自分の後に続くメンバーを次のリーダーに育てていくことができる人物です。「目指す人を越え、その時の自分を超える人を育てる」これができるリーダーとなっていただきたいと思います。そして、リーダーとして、次に続く人材に「自分を超えてみろ」といえる知識、技能、行動力が自分自身にあるか常に振り返っていただきたいと思います。
 校是である、「全員指導者たれ」を実現するために、本校の教育の柱は自主・自律・人間尊重としています。リーダーとして、周りの人々とともに困難に果敢に立ち向かう努力ができる自主性と、常に自分がリーダーとしてふさわしい知識や行動力があるかを振り返り律することができる自律、そして周りのすべての人々の人格を重んじ、その人たちが最大限の力を発揮できるよう導いていける人間尊重の精神、これらを本校での学校生活の中で磨いていただきたいと思っております。
 本校の教職員はそのために様々な課題を諸君に課していきます。野球の練習で行うノックに例えれば、先生たちは、捕るのが簡単なボール、速くて強いボール、時には自分には手が届かないと思ってしまうようなボールを打ってくるでしょう。しかし、諸君が捕るのが簡単なボールを疎かにし、速くて強いボールから逃げ、自分には手が届かないと考え、捕るために動こうとも手を伸ばそうともしなければ、永遠に諸君は成長しないのであります。
今、諸君は、入学式に臨み、将来に希望をもって、やる気に満ち溢れていることでしょう。三年間の学校生活の日々は、常に諸君自身の将来のための一日一日であり、勉学に、学校行事に、部活動に、そして人間的成長に、極めて多忙な毎日となるとおもいます。しかし、敢えて諸君に言いたいと思います。並大抵の努力では指導者たるになりえません。ここにいる全員が指導者たるには、全員が指導者にふさわしい努力をし続けていただきたい。本校では、すべてにおいて、貪欲に挑戦し、努力するものが最後の瞬間に笑顔で立っていられると思っています。
 
 さて、本日ご参列の保護者の皆さん、本日は誠におめでとうございます。これまで、とりわけ、昨年度はお子さんとともに大変な困難を乗り越えてこられたことと思います。あらためて敬意を表します。そして、今、保護者の皆さんのおかげで、ここにいる三百十八名の新入生は誠に晴れがましく、決意に満ちた顔で前を向いています。先ほどから、私は、新入生諸君に期待することを縷々お話ししてまいりました。私たち新宿高校の教職員一同は、ここにいる新入生が「全員指導者」たるにふさわしい人材になるよう指導を行っていく努力を重ねてまいりますことをお約束します。本校教職員は教育の実践者、専門家として、新入生諸君の目前の姿だけでなく、三年後に本校を巣立つ時、さらには五年後、十年後の姿を思いいだき、指導してまいります。そのために、時には自主性を促すために突き放したり、自律を促すために厳しく指導したりすることもあると思います。しかし、どのような場面でも、これまで教職員が積んできた教員としての経験や組織力により、常に生徒一人ひとりを尊重し、期待し、育ててまいります。どうぞ安心してお子さんを送り出していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 結びに、今年度の入学式は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、様々制限のある中で実施されております。本来であれば、新入生諸君の入学を、この場にいて共に祝っていたであろう、諸君の先輩や本校を常に支えてくださっている来賓の方は参列しておりません。しかし多くの人が諸君の高校生活のスタートを期待をもって祝ってくれていることを忘れないでいただきたいと思います。
新入生諸君がこれからの新宿高校での学校生活を実りあるものにしていただくことを期待して、式辞といたします。
 
令和3年4月7日   東京都立新宿高等学校長 藪田 憲正
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