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【国際】30 JICA中学生・高校生エッセイコンテスト2018 W受賞!(1) 20190223

JICA中学生・高校生エッセイコンテスト2018 W受賞!(1) 20190223
 
 第3学年の国際理解教育の一環として、JICA主催国際協力中学生・高校生エッセイコンテストに応募し、応募総数37,748点の中から、2名入賞しました。阿部さんが「国際協力特別賞」、廣田さんが「独立行政法人国際協力機構東京センター所長賞」を、それぞれ受賞しました。また、学校の取り組みとして「学校賞」も受賞しました。
 今回は阿部さんの表彰式の様子をご報告します。今年度のコンテストは、「世界の幸せのために私たちにできること」というテーマでした。阿部さんのエッセイは「「ミンナ」を消すレシピ」というタイトルで、「ミンナ」という概念を捉え直すことで、1人ひとりが生きやすい社会を目指そうとするものでした。
 表彰式の審査講評では、中学生の部審査委員長の尾木直樹先生より、世界的な問題を自分の問題に引き寄せて本質を捉えようとする作品ばかりであったというお話がありました。また、高校生の部審査委員長の星野知子先生より、エッセイとは読む人の心をも豊かにするものである、そして言葉と文化が違う人が付き合っていくには、“人間としての魅力”が大切だ、というお話がありました。表彰式終了後は、懇親会と国際協力のワークショップがありました。他校の生徒とも交流ができて、素晴らしい機会でした。
 廣田さんの表彰の様子は来月報告しますが、阿部さんも廣田さんも他者を“認める”ことこそが、世界の幸せにつながるということを伝える点で共通していました。
 今後とも、小石川の国際理解教育を通して、目の前の課題や世界の問題を捉え直すことで、新しい価値観を創作し、そしてそれを発信することでよりよい社会づくりに貢献していくことを目指していきます。


表彰式

 
表彰式


表彰式


表彰式


懇親会


懇親会


ワークショップ


ワークショップ

「ミンナ」を消すレシピ
 
 僕は自分が嫌いだった。僕は異常に背が高すぎた。小学校4年生で担任の男性教師をぬかした。五年生で日本の成人男性の平均身長に五センチ差をつけた。背が高いのを少しでも誤魔化そうといつも猫背で生活していた。苦しかった。
 ある日、偶然私はテレビでバレーボールの番組を観た。衝撃が走った。そこでは当時の僕の身長を二十センチも超えた選手達が戦っていた。彼等は背をピンと伸ばしていて、心からプレイを楽しんでいる。勇気を貰った。
 次の日、朝早く学校に行った僕は先生に自分の悩みを話した。先生は静かに言った。
 「他人と違っていいんだよ。」
 決定的だった。涙が溢れた。僕はそのときの気持ちを、生涯忘れないだろう。
 先生の言葉のお陰で僕は前向きになれた。勉強に精を出し、都立の有名中学に進学できた。部活はバレーボール部を選んだ。いつか誰かに希望を与えられる選手になりたいと考えている。
 僕のように容姿にコンプレックスを抱える人は多い。毎日山手線では「美容整形」に関する広告をよく見る。僕らにとって「美容整形」は一種の「救い」だろう。僕は知っている。現代社会には驚く程排外的な面が存在していて、「ミンナ」とは違う人間に対して厳しいということを。容姿という最も隠しにくい違いを持つ僕等には、生き辛い世の中だ。自分で自分を認めることさえ難しい。
 それでも、先に述べた「救い」に頼るのは違う気がする。問題なのは違いを持った僕等では無い。個人個人を尊重できない環境であり社会だ。自己や他人を個として認められる世に作り変えることこそ唯一の解決策だ。
 僕等は家も食事も命の保障もある。しかし全員が幸せでないのもまた真実。アフリカの子供達が最低限度の生活を得た先へ。一人一人が自尊心を持てる社会のレシピを考えなければならないのだ。僕は色んな人とそのレシピについて話し合ってきた。
 最近、「ミンナ」なんていないと知った。皆が「ミンナ」との違いを持っていて、悩んでいる。全員が本当は存在しない「ミンナ」に合わせようと必死なのだ。それに気が付いたとき、1つのレシピがひらめいた。他人に自分の特徴、「ミンナ」との違いについて話すのだ。これをやると相手も自分の特徴を話してくれる。
 これを続けて数週間。不思議なことが起きた。クラスから「ミンナ」が消えた。全員が「ミンナ」と違ったからだ。嬉しかった。僕の目にはクラスが、いつか未来の縮図に見えた。もちろん、レシピは1つだけではないだろう。これから僕は新しいレシピを考え、「ミンナ」を消していく。先ず、学年、学校からだ。理由は、これが僕の考える「私たちが世界の幸せのためにできること」だからだ。
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