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26 27 小石川フィロソフィー2

 小石川フィロソフィー2(学校設定科目)
 
 本校では、小石川フィロソフィーとして課題研究を3年生と4年生に全員履修で行っている。4年生では小石川フィロソフィー2として週2時間行っている。3年生の小石川フィロソフィー1と同様、生徒は、教員が示す分野のうち自分の興味関心がある分野を選び、受講する。
 
それぞれのテーマについて、3年生より深くていねいに探究活動を行い、最後は論文にまとめる。発表を行う講座もある。一部の生徒は5年生でも研究を継続し、各種の発表会に臨む。
 
平成27年度開講講座
おもてなし学習~東京の魅力発見!~
車窓から眺める人と街
Cool Japan 海外へ広がる日本文化
アフリカ概論
結び目理論入門 
役立つ数学~統計解析入門~
空飛ぶ物理一座
体育・スポーツ
英語で科学を学ぶ
英字新聞講座 Reading English - language Newspapers  
音楽表現  
美術作品研究 
【年間授業計画】
 
 
指導内容
指導目標
4月
全体ガイダンス
各講座ガイダンス
小石川フィロソフィーの意義を説明し、各講座の意図を理解させる選択した講座の詳細を説明し、年間予定を理解させる
5~12月
各自テーマに沿った課題研究活動
各自でテーマを設定する各自の研究テーマについて調査・研究する
1月
2学期までのまとめ
2学期までの知識・資料等の整理をし、自分の考えをまとめる
2月
発表準備
まとめをもとに発表準備を行う
3月
1年間のまとめ
発表を行う 
 
◎ 平成26年度に開講された講座は以下の通りである。
 
 和食研究 
 鉄道と街とわたし
 Cool Japan
 現代社会in actin
 行列のできる数学相談所~線形代数入門~
 役立つ数学~統計解析入門~
 空飛ぶ物理一座
 化学分野の研究
 やってみよう! 何でも生物学
 江戸時代の医学、健康法
 英語で科学を学ぶ
 Be a Tour Guide in Tokyo
 音楽表現
 美術作品研究
 フィジカルコンピューティング入門
 
各講座の詳細は以下の通り。 平成26年度合同発表会の様子20150319
 
和食研究
1.目的
 平成25 12月に、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、国内外で「和食」に対する関心が高まりを見せています。一方、かつて地域や家庭で脈々と受け継がれてきた「和食」文化は、食を取り巻く社会環境の変化などにより、若年層に伝えられる機会が減少していると感じます。 1年間の授業目標として、「食に対する興味・関心の向上」「五感を働かせて食べることの重要性」「伝統文化の継承」を掲げて取り組みました。
2.授業概要
 1学期は、「出汁(だし)」の研究を行いました。鰹、昆布、椎茸、煮干、旨味調味料等の成分について文献で調査し、それぞれがどのような料理に合い、素材をより引き立たせるのかを学びました。実際に家庭科の協力を得て、「出汁」を自らとる経験もしました。
 2 学期は、築地市場や谷中銀座商店街について歴史や役割を文献で調査し、現場で学び、レポートを作成しました。材料を入手してから最終消費者まで届くにはどのようなルートを辿るのかを学習しました。
 3 学期は、論文テーマの設定と資料収集を中心に活動しました。生徒は図書室でさまざまな文献やインターネットを駆使し、資料を収集し、授業内で、論文についてのプレゼンテーションを行いました。
3.成果と課題
 保護者が作ったごはんを漫然と食べるだけだった生徒が、出汁を意識することによって、親子で調理方法について語ることができるようになったことや、東京最大の卸売市場である築地移転問題について興味を抱くようになるなど、非常に大きな成果が得られました。
 一方、テーマが「和食研究」という広く大きなテーマであったため、個々の料理に関する研究をもっと進めたいという意見もありました。文献で調査はできるものの、実際に調理で証明できないという物理的課題も見つかり、今後の指導のあり方を検討する必要性があると感じました。
 
 
鉄道と街とわたし 
1.目的
都市空間が人間関係の形成や内面にどのように影響するのか。鉄道を中心とする交通網の発達により都市がどのように発展(その逆に衰退)していくのか。そして、これらのことが社会生活にどのように影響するのか。以上を中心として広く鉄道について各自が興味・関心のあるテーマについて調べ、理解を深めていくことが本講座の目的である。
2.授業概要
1学期は、鉄道に関する書籍の検索や多読から始めた。今年は、2020 年の東京オリンピックを見据えた都市計画や都市開発に関心を持つ生徒が多かった。開催都市として正式に決定したことが大きいと考えられる。
2 学期は、具体的な論文テーマの設定と資料収集を中心に活動した。生徒はさまざまな文献やインターネットを駆使し、資料を収集した。テーマとして、鉄道会社の歴史、寝台列車の盛衰、オリンピック開催を見据えた新駅の開業や新しい鉄道網の整備、既存鉄道の高架化や地下化、新駅開業と地域政治との関係、車体デザインと幅広く取り上げられた。その後、生徒は収集した資料を整理・分類し、論文についてのプレゼンテーションを行った。
3 学期は、プレゼンテーションで明らかになった課題を修正しつつ、論文にまとめた。さらに論文の概要を日本語と英語で書いた。
3.成果と課題
資料収集の過程でテーマを多少変更しながらも、生徒は試行錯誤しつつ自ら考えて調べていた。
成果としては、「鉄道」「都市」をキーワードとして多岐にわたるテーマが昨年以上に出てきたことである。課題は図書の不足である。関連する図書を購入したがまだまだ不足していると言わざるを得ない。さらに鉄道に特化した新書があることを2 学期の末になって知ったことも今年の大きな課題であった。
 
Cool Japan
1.目的
日本文化が世界に広まっている現象(Cool Japan)を学ぶことを通して、日本や世界の文化の特徴について、客観的な考察ができるようになることを目的とする。
2.授業概要
1学期にCool Japanに関する英語論文"Japan's Gross National Cool"を輪読し、その成り立ちや、海外からの日本文化への視線についての知見を得る。2 学期以降は、日本文化のうち、世界に広めたい一分野を各自が選択し、3 学期に最終レポートを提出する。中間報告では、授業時間内の質疑応答だけでなく、アドバイスをメモとして提出させ、教員からのコメントと共にフィードバックする。毎授業時間終了時にその時間の活動状況を提出させ、教員からのコメントを加えてフィードバックする。
3.成果と課題
Cool Japan や日本文化に関する生徒の基礎知識が不足気味であったこと、輪読した論文の英語が生徒の英語力をやや上回る状態であったことなどから、基礎的な知見に関しては、教員から補足する部分が多かった。2 学期以降の各自のレポート作成においては、世界に広めたい日本文化だけでなく、日本独特の文化についての調査にまで対象を許容したため、講座全体としての統一感は薄れたが、生徒の意欲は維持された。
 調査対象の分野が多岐にわたることもあり、中間報告の際の質疑は低調であったが、アドバイス用のメモは積極的に書かれていることも多かった。また、発表者の調査方法や結果から、自分の調査を見直す姿勢も見られた。最終レポートも、いくつか不十分なものはあるが、概ね満足のいくものとなった。
発表方法、レジュメの作成方法、レポートの作成方法については、未熟な点が多いため、今後は、それらの作成方法の指導に時間を割く必要がある。
 
現代社会in actin
1.ねらいと学習計画
 プログラム「現代社会in action」は、総合的な学習の時間における学校設定科目である趣旨を踏まえ、3 年間の経験をもとに、本年度も以下の授業実践を行ってきた。
1学期は、「裁判甲子園」(日弁連主催「高校生模擬裁判コンテスト」)に参加するための学習活動を通して政治、法などの分野での課題発見と学習を行った。
2 学期は、「日経ストックリーグ」(日経新聞主催「高校生のための株式学習コンテスト」)に参加しながら経済の分野での課題発見と学習および論文作成を行った。
3 学期は、「哲学対話」(上智大学文学部哲学科の研究プログラム)への参加を通して、これまでの学習を踏まえて認識を深化させるとともに、成果のまとめを行っている。
 2.実際の活動と生徒の成長
 1学期の「裁判甲子園」では、入賞はできなかったが、審査員特別賞を受賞するなど、検察役も弁護役もしっかり「かあさん助けて詐欺」の事例を分析し、審査員の称賛を得る高いレベルの成果を示した。
 2 学期の「ストックリーグ」は、本稿執筆の時点では結果が出ていないが、製薬業界、製菓業界、スマートをキー概念にした新産業、静脈産業と称されるリサイクル産業などに注目したレポートを書き上げた。
 3 学期の「哲学対話」は、現在進行中であるが、倫理、法、経済などのテーマを巡ってしかりした発言がみられ、これまでの学習の成果が発揮されている。
3.課題と今後の展望
 体験的学習を通し、言語活動、科学的認識を深めるという、講座のねらいが達成されつつあるが、3 つの異なるテーマに取り組むという多様性による時間不足や内容のさらなる掘り下げに関しては課題を残している。
 
行列のできる数学相談所~線形代数入門~
1.本講座のねらい
学習指導要領が変更されて、新課程では数学Cがなくなり数学3に統一された。その影響で「行列」の分野が削除された、行列の基本を学び、少しでも実用されている数学に触れることはできるはずと考え、このような講座に取り組んだ。
2.授業概要
1)1学期(4月~8
旧課程の検定教科書を利用して行列の基本を講義形式で演習も行い、行列に慣れてきたら生徒自身で教科書の範囲を決め、生徒が生徒に教えていくゼミ形式で授業も行った。学習する内容は大学の内容まで広げ、掃出し法、固有値・固有ベクトル、対角化なども学習した。ここまでで学んだことを基にして、研究テーマを探した。
2)2学期(9月~ 12月)
 図書館やインターネットを利用し、選んだテーマを研究し、東京都SSH合同発表会に向けてポスターを作成していった。
3)3学期(1月~3月)
 2学期の研究に基づいて、テーマの再設定をし、論文を作成していった。
3.主な研究テーマ
 ◎アフィン変換    ◎マルコフ過程  ◎エルゴード性     ◎フルビッツ判定法
 ◎最小2乗法      ◎空中三角測量 ◎2次元・3次元回転  ◎和算と行列  など
4.成果・課題
自分自身で調べ研究することによって、行列を通して新たな概念を学び、それを応用した分野も学べた。高校1年生の段階なので、数列等の未習の内容があるので、理解するのに余計な労力を使ってしまうことがあったことが課題である。
 
役立つ数学~統計解析入門~
1.本講座のねらい
 現行学習指導要領において、数学1に「データの分析」が位置づけられたことで、すべての高校1年生が記述統計に関する内容を学ぶことになった。その一方、数学Bの「確率分布と統計的な推測」については選択項目との兼ね合いで、通常の授業の中では扱いづらいといった実態がある。そこで、本講座では、心理学や経済学といったどの分野でも重視される推測統計学の基礎を学ぶ。そして、それらを活用して各々のテーマを探究することで、統計的に物事を判断する力を身に付けることをねらいとした。
2.本講座で扱った統計に関する内容
受講者は、4月から本講座と並行してデータの分析に関する内容を学ぶことになった。そのため、数学1に関する内容を扱う場合は、教科書の内容を前提とした探究活動、推測統計学(区間推定・検定等、数学Bの内容を含む)を扱う場合は、体系的に推測統計学の基礎を習得できるように配慮した。
3.成果と課題
今年度は、プロ野球データを分析する班もいれば、集中力や確率判断の実態について心理学の先行研究を参考に分析する報告もあった。具体的な研究テーマ(一部抜粋)は以下のとおりである。
・プロ野球セ・リーグにおける順位の変動はなぜ小さいか~セイバーメトリクスの指標を用いた要因の分析~
・モーツァルト効果は本当にあるのか
・人間は正しく確率判断できるか~確率の誤認知の実態調査~
 
空飛ぶ物理一座
1.講座のねらい
 本講座は、物理分野で自らテーマを設定し、研究を行うことを目的としている。理科で3 講座行っているため、他の講座よりは少ない約10 名で行っている。
2.物理チャレンジ
 本講座では、まず「全国物理コンテスト・物理チャレンジ」に取り組んでいる。これは、「物理チャレンジ」の実験課題に取り組むことによって、実験装置を自ら開発することや、実験への取り組み方、レポートの書き方等を学ぶためである。実験レポートの締め切りは6月下旬であるため、スケジュール的にもよい経験になっている。今年度の実験課題は「液体の屈折率を測ろう」であった。光の屈折だけでなく、音や波などなど、様々な視点で取り組んでいた。
3.テーマの設定とチーム作り
 「物理チャレンジ」が終わると、9月頃までにそれぞれがテーマを決めて研究に取り組む。
 生徒は自分たちで2 3 名のチームを作り研究に取り組んでいる。今年度は主に、音の共鳴・共振、光の反射、水面への物体の投射など4つのテーマに取り組んでいる。
4.成果の報告
 研究の内容がある程度深めることができたものは国際物理論文コンテストへ応募している。本講座が開講されているときはほぼ毎年このコンテストへ応募し、入賞や佳作などに選ばれている。昨年も本講座で行った研究「Does the total radiation depend on radiators thickness? 」が佳作に選ばれた。
 ただし、この講座の時間だけで研究を進めるのは難しいため、放課後や土日に実験を行ったり、翌年度も継続して研究に取り組むものも多い。国際物理論文コンテストのレベルが年々上がっていくこともあり、今後は単年度の研究だけで成果を出すのは難しくなっていくと思われる。
 
化学分野の研究 
1.本講座のねらい
 本講座は、化学分野に興味のあるテーマを、自分たちで考え、1年間かけて実験を行い、発表を行うことを目標に活動した。今年度は10人が3つのテーマに対して、夏休みや休日なども活用して実験を行った。上手くいかない結果にも、自分たちの創意工夫で、改良を加えたり、専門家に電話で質問したりと、各々が自分たちで切り拓く姿はまさに本講座のねらいであった。
2.授業概要とその成果
 最初のテーマ選びには多くの時間をかけた。各個人の興味のあるテーマを持ちより、議論しながら最終的に分野を絞り、次に、興味のある生徒同士で班を構成し、テーマについて具体的な内容を詰めた。
 今回は、環境をテーマにする班や、生物を対象に化学的にアプローチする班があり、「実際に実験を行い、その結果からさらに実験内容を改良する」ということの繰り返しであった。生徒たちは上手くいかない実験結果に対して、「現象や結果をしっかりと観察し、その原因を考え、実験内容を改良していく」という、研究における最も大切なことを経験できた。
3.各班のテーマについて
○グループ1 「カイワレ大根の種の発芽・生育条件の変化による成長の差異」
 カイワレ大根の種の発芽を、pHを変化させて研究を行った。最初は、シャーレに様々なpHの溶液を入れていたが、液体の蒸発による誤差をなくすために、寒天状に固めた溶液を用いる工夫をした。さらに、そこに種々の金属イオンを混合した際の発芽・生育状態を研究した。
○グループ2 「シジミなどの貝類による水質浄化作用について」
 水質浄化に興味を持ち、シジミなどの生物による浄化作用を調べる研究を行った。水質汚染を調べるパックテストを用いて、COD(化学的酸素要求量)と4 種のイオンが入った水槽が、シジミなどの貝類によって、どのように変化していくのかを数日にわたり、測定した。
○グループ3「グリシンの食品添加物としての効果について」
 グリシンはアミノ酸の中で、食品に対して耐熱性菌の静菌作用を持つものとして知られている。この作用を実際に測定し、他のアミノ酸では、どのような効果になるのかを調べた。生物科の先生とも相談しながら、培地つくりから始め、アミノ酸の入った食品を実際につくり、数日おいた食品から一部を培地に移し、どれくらいの効果があるのかを研究した。
 
やってみよう! 何でも生物学 
毎年、生物科では、生徒自身が設定したテーマでフィロソフィー(課題研究)を実施している。今年、生徒たちが設定したテーマは以下のとおりである。
・カタツムリの嗜好に関する学習についての研究
・コオロギの触覚研究     ・ハエトリソウの観察と消化
・水草の相互関係について   ・ミミズに土壌改善能力はあるか
・黒カビの予防と対策     ・納豆菌の栄養源
・光合成と気孔の関係     ・ヒドラの刺胞射出条件
・木に生息するアリが好む巣の条件
 年度当初に生徒に課したこととしては、(1)自分で材料生物の飼育・培養等を責任もってすること、(2)大学等の専門家の助言を受けること、の2 点である。このうち、(1)については、試行錯誤を繰り返す中で、多くの生徒が飼育・栽培方法を確立できた。(2)については、メールで大学の先生に連絡をとり、ご助言をいただいた生徒、日頃よりお世話になっているお茶の水女子大学の先生を訪ね、ご指導いただいた生徒など、概ね目標を達成した。また、昆虫を扱っている生徒は本校生物科の久保田敏先生の専門がアリなので、直接いろいろ指導を受けることができた。また、逐次結果はもちろん、調べたことや考えたこと、教えてもらったことなどノートに記録するように指導してきたが、今年度は社会現象とも相まって、生徒たちは実感をもって記録できた。
 例年のことではあるが、生徒達は材料生物の選定、テーマ設定に多くの時間を費やしてしまう。また、材料生物の維持方法の確立にも時間がかかるため、本実験に入るのが秋頃となってしまっている。生徒達は、実際に自分でいろいろ試みることを通して多くのことを学んでいるが、準備段階でもっと放課後等の時間を使い、本実験の時間を十分とれるように進行管理についての助言をしていくことが今後の課題である。
 
江戸時代の医学、健康法
1.目的
 現代では、高度な医療サービスを容易に受けることができる。しかし、江戸時代は現代のような高度な医療ではなかったが、現代医療の礎がつくられた時代であった。そこで、江戸時代の医学、健康法について知識を深めるとともに、自己学習力を高めることを目的とした。
2.授業概要
1)古代医学
 古今東西の医学についての講義を行い、講義後に受講者は個々に興味をもった事柄について研究し発表を行った。
2)華岡青洲
 江戸後期の日本医療発展に大きく貢献した、蘭漢折衷派の医学者華岡青洲(1760 1835)についてのビデオを観賞し、世界初全身麻酔下での乳癌摘出手術の成功について知識を深めた。
3)養生訓
 『養生訓』(貝原益軒著)を読み、内容をまとめ発表を行った。発表後は質疑応答の時間を取り、知識を深めた。また、『養生訓』巻三、巻四は食事に関する内容であるので、『養生訓』に書かれている食材、調理法を踏まえて現代で作ることができる献立を作成し、発表を行った。
4)論文作成
 受講者各自が研究テーマを設定し、研究を進め論文を作成した。
3.成果と課題
 各自の設定した研究テーマで研究を行うことにより、受講生個々の知識を深めることができた。また、各自が調査、研究について主体的に進めていたので成果を上げることができた。
 しかし、『養生訓』の内容をふまえた献立を作成したが、その後に実際に調理することができれば江戸時代の食事をより身近に感じることができただろう。
 
英語で科学を学ぶ オーストラリア「Henley校」とスカイプで授業交流20141211
  1.目的
 「英語で科学を学ぶ」は、科学的な内容を英語で学び、発信できる力を育むことを目指して、今年度新たに開講した科目である。英語科教員と化学科教員のチーム・ティーチングで実施した。
2.授業概要
1)英語で書かれた化学テキストを使った授業
 使ったテキストは Oxford Content and Language Support: Science IB Chemistry.である。
授業では、化学科教員にチェックを受けた語彙リストを利用しながらテキストを読んでいった。授業のゴールは、日本語訳ではなく、学んだことを英語で説明できること、およびテキストの練習問題ができることとした。また、化学科教員が提示した課題を解決するために、生徒が各自実験計画を立て、計画の説明と、実際に実験を行い、結果のディスカッションを英語で行う、アクティブラーニングを取り入れた活動
を行った。
2)プレゼンテーション
 校内発表会で、次のテーマで英語発表を行い、「つくば Science Edge」でもポスター発表を行った。
I mprovement of t he met hod for ef fect ive separat ion of nat ural organic compounds
Separation of Shikonin using a glass f unnel column under decompression
Where did the sun come from?
3)英語論文を読む
 英語で書かれた科学論文を読み、英語で内容を説明した。読む作業を通じて、論文に求められる「型」を理解し、自分自身の論文に活かすことを目標としている。
4)英語論文の作成
3.成果と課題
 成果は、校内だけではなく校外でも英語による発表ができたことである。また、シラバスを整備し、評価の方法についても検討していくことが次年度に向けて必要である。
 
Be a Tour Guide in Tokyo オーストラリア「Henley校」とスカイプで授業交流20141211
1.開講の理由
 2020 年の東京オリンピックの開催が決まり、英語で案内ができる人の需要が増えることが予想される。高1の生徒達が、将来オリンピックの通訳としてボランティア活動を行う可能性も十分ありえる。そんなことを考え、伝統文化や東京の名所を英語で案内する練習を通して、英語力と日本に関する知識を身につけることを目指した講座を開講した。
2.講座の目標 
 この講座の目標の一つは、知っている知識や情報を英語で伝える力をつけることである。お好み焼きや銭湯や敬語といった我々がよく知っているありふれた事柄を、わかりやすく説明する練習を通して英語発信力をつけようというものである。もう一つの目標は、日本に関する知識の再確認あるいは再構築である。いざ説明するとなるとしっかりとした知識が必要となる。日本人でもわからないことが多々ある。
たとえば、日本の高齢化社会の説明、それに関連する福祉制度を説明するとなると知識があいまいでは難しい。
3.授業概要
 授業は、生徒の発表と日本に関する知識の確認の二本立てとした。34人の生徒が日本のことを説明し、その後質疑応答をする。将棋、温泉、季節ごとの行事など話題は事欠かない。2 限目は日本に関してさらに深く学習する時間とした。たとえば宗教、日本語、迷信など日本に関する英文を読んで、知識のみならず語彙や表現を学ぶ時間とした。
4.成果と課題
実践として、JETプログラムの講師ハリーさんとシートン校生を六義園に案内する機会を持った。このような実践の機会がもっとあったほうが学習の効果は上がる。さらに、各自が次のようなトピックで日本の事柄に関する英文レポートを作成した。
(1) Japanese Seasonal Amusements (2) Japanese Character (3) Japanese Life Expectancy (4) Japanese
Language and Writing system (5) Hot Springs and Health (6) Japanese Food (7) Japanese Indigenous
Animals (8) Japanese Clothing (9) Calligraphy (10)The World Heritage Sites in Japan (2)
 
音楽表現
 「音楽表現」では、今年度、「個人研究」と「グループアンサンブル」に取り組んだ。「個人研究」では、「ニューウェーブの研究」「シンセサイザーで作曲」「編曲」「指揮者について」「コード進行について」「音響技術について」といった内容について、図書館のメディアコーナーや本を活用して調べ学習をし、パワーポイントを使っての報告も行った。
また、「グループアンサンブル」では、「ア・カペラ」に取り組み、きれいなハモリ、響きを追求した練習に取り組んだ。
今後の課題として、「音楽表現」の追究に向けた取り組みが熱心になればなるほど、それにかける時間が膨大になり、フィロソフィーの時間だけでは、解決できないものになってきた。高額な楽器を購入したり、パワーポイントを自宅で作成したり、負担がかかってしまった点も否めない。だが、今年度の「個人研究」は深く小石川フィロソフィーにふさわしい内容になっている。
 
美術作品研究
1.目的
 本講座では受講者各自が興味関心に基づいた研究テーマを設け、調査・研究を行うことを目的としている。授業では文献等に基づく調査だけではなく、実証研究としてできるだけ手を動かしてものを作ったり描いたりすることを奨励している。調査して得た知識に制作体験が加わることで、研究の成果が深まると考えている。
2.講座概要
1)前半~美術作品の調査・発表~
 西洋美術を代表する作品の中から、受講生が1人3点ずつ選び、調査・発表した。教員からは、作品の時代背景を解説し、同じテーマで描かれた他の画家の作品を紹介するなどして、研究への興味を喚起した。
2)後半~各自のテーマで調査・研究~
 各自の興味関心に基づいてテーマを設定し、教員のアドバイスを受けながら調査研究、制作研究を行った。
3.成果と課題
 講座の後半は、受講生全員が研究に作品制作を取り入れた。今年度の研究テーマは、「理想の家を考える」(模型制作を含む)、 「文字デザインの研究と制作」(タイポグラフィー)、 「ストップモーションで特殊な映像を作る」である。
前年度の反省を踏まえ、前半の作品調査・発表を一人4点から3点に減らし、後半のテーマ研究に多くの時間を充てた。研究テーマを各種コンクールへの出品に繋げれば、制作へのモチベーションが高まると考えたが、個々のテーマと適合させることができなかった。次年度以降に期待したい。
 
フィジカルコンピューティング入門
1.本講座の目的
 マイクロコンピュータ「Arduino」と通信モジュール「3Gシールド」を使って独創的な装置を製作する。
2.本講座の特徴
1)教科横断的学習
 Arduinoを使って独創的な作品を創作する活動を行うには、プログラミング技術(情報)を核として、センサ技術(物理)や数式処理(数学)など、教科の枠を超えて問題を解決していく能力を育成する。
2)クラウド環境による反転授業
 クラウド環境を使って「反転授業」を行った。 教員がクラウドサーバ上にアップした動画教材を、生徒が自宅で視聴(予習)しておく。学校では一斉授業をあまり行わずに、個々の生徒に合わせた指導を与えたり、他の生徒と協働しながら予習で得た知識をもとに自分が設定した作品を創作するための活動を行う。
3.生徒の作品例
 本講座に参加した生徒は以下の作品を創作した。
宅配便連絡システム、空調管理装置、鍵コールシステム、不在時におけるインターフォン通知システム、洗濯物管理システム、カーテン制御システム、車内温度お知らせシステム、植物育成システム、睡眠確認システム、介護補助システム、自宅警備システム、洗濯物管理システム、鍵確認システム
4.成果と課題
 Arduino は、高度な最先端技術を短期間で習得させ、創造性を身に付けさせることができることがわかった。 また、教科横断的な問題解決能力を効果的に育成する素材として適していることがわかった。
 反転授業により、自宅学習と学校での学習を関連させながら効果的に授業を展開することができた。
 今後は、さらにわかりやすい動画教材の開発を進めることが重要である。
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