小石川フィロソフィー1(総合的な学習の時間)
本校では、小石川フィロソフィーとして課題研究を3年生と4年生に全員履修で行っている。
3年生では小石川フィロソフィ―1として週1時間行っている。生徒は、教員が示す分野のうち自分の興味関心がある分野を選び、受講する。
その分野の基礎知識を学習した後、それぞれのテーマについて探究活動を行い、3月に発表会を行う。この発表会は1・2年生全員が各講座に分かれて見学し、自分たちが3年生になった時の参考にしている。
【平成27年度開講講座】
「古事記」と日本人
世界の三大宗教とその周辺
裁判の変遷と裁判員制度
数楽(すうがく)に親しむ
自然科学・探究活動の基礎
スポーツ理論及び実習
Reading for Pleasure
【年間授業計画】
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指導内容
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指導目標
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4月
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全体ガイダンス
各講座ガイダンス
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小石川フィロソフィーの意義を説明し、各講座の意図を理解させる選択した講座の詳細を説明し、年間予定を理解させる
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5月
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基礎知識の習得
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講座内に共通する知識を各担当者が準備した書籍・資料等を用いて理解させる。
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6月
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考察・議論の方法
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議論に意欲的に参加し、自分の意見を的確に表現できるか
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7月
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1学期のまとめ
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1学期に調べ、考えたことをまとめ、講座内で発表する。
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8~12月
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各自テーマに沿った課題研究活動
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各自でテーマを設定する各自の研究テーマについて基礎事項を調査・研究する
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1月
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2学期までのまとめ
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2学期までの知識・資料等の整理をし、自分の考えをまとめる
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2月
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発表準備
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まとめをもとに発表準備を行う
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3月
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1年間のまとめ
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1・2年生対象に発表を行う
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◎ 平成26年度に開講された講座は以下の通りである。
『古事記』と日本人
メディア活用研究 ~ジャーナリズムを中心に~
裁判員裁判と司法改革をめぐって
新聞から考える政治・経済
数学研究
自然科学探究の方法-基礎講座-
スポーツ理論及び実習 研究授業を通して学ぶ
Reading English-language Newspapers
Reading for Pleasure
各講座の詳細は以下の通り。平成26年度合同発表会の様子20150320
『古事記』と日本人
国際理解、グローバルな視野が重視される中、生徒達が実際に他文化と接する機会は多い。そこで考えさせられることの一つが、自己のアイデンティティではないだろうか。この世界の始まりをどのように祖先達が語ってきたのか、『古事記』の原文に触れながら読み解いていくのがこの講座の目的である。国語の教科書で『古事記』を読むことがほとんどなくなってしまった昨今だが、今こそ日本の神話の一つでも自信を持って語れる生徒を育てる意義は大きいと考える。
声に出して読むことを重視し、可能な限り全員で斉読した。古文を学び始めたばかりの3年生だが、大変よく読めていた。予想以上に神話を知らず驚いたが、逆に新鮮な気持ちで大いに興味を持てたようだ。生徒の発表中心に進めてきたが、互いに良い刺激となった。
神話と日本文化のつながりに気づけたことが最大の成果であり、生徒達がこれらを語り継ぐ気持ちを持ち続けられるかどうかが今後の課題であろう。日本をもっと知ろうと考え、家族と伊勢や奈良、京都に旅行した生徒もいた。オーストラリア海外語学研修で世界の中で日本がどのように見られているのかと考えるとき、多くの生徒に『古事記』という根源の世界に直に触れる体験をしてほしいと切に思う。
メディア活用研究 ~ジャーナリズムを中心に~
1.メディア概論
探求活動の土台作りとして、報道についての基礎知識の習得を目的とした講義形式の授業を実施した。講義では、メディアの5概念や報道の基本構造に加え、新聞の紙面構成や制作工程等を取り上げた。また、報道について捉える視点を得るために、新聞への投書と、科学報道をテーマとした意見交換を行った。
2.グループワーク
2種類のグループワークを実施した。「新聞一面作り」によってニュースの価値付けについて学ぶ活動と、「新聞社各社一面比較」によって社会を多角的に見る視点を学ぶ活動である。報道の仕方によって事実の伝わり方が異なるという受信者の持つべき認識と、報道を題材にした探究の方法について学ぶ活動となった。
3.報道の実際
報道に携わる専門家から直接学ぶ場として、東京新聞社会部の小林記者、産経新聞社会部の滝口記者を講師に迎え、2回の出前授業を実施した。新聞記者の仕事の実際や、報道についての考え方を学んだ。生徒たちは、自分の研究テーマにつながるヒントを多く吸収することができた。
4.個人調査・研究活動
「ジャーナリズム」をコアテーマに、各自がテーマ設定をし、調査・研究を進めた。研究の進め方や、論文の書き方、発表の仕方の学習も進め、その集大成としての研究発表を実施した。
裁判員裁判と司法改革をめぐって
いわゆる三権のなかで自身との関わりにおいて最も遠いと感じられているのが依然、司法だと思われる。この司法のあり方の変化を調べ、問題点を探る。さらに生徒自身も生涯において「裁判員」を務める可能性があるということを十分に踏まえた学習としたい。
1.研究と発表
裁判員制度が施行されて5年が経つ。この制度について、4つのグループに分かれて研究し発表した。
(1)Bグループは、裁判制度以外の司法制度全般の改革について学び発表した。
(2)Aグループは、制度の目的、仕組み、現状についてとらえ返し、問題点について考察を深めた。
(3)Cグループは、裁判員制度導入に至った理由について、日本の制度についての歴史的な経緯と戦後の司法改革の流れにそって考察した。
(4)Dグループは、陪審制をとる英米や参審制をとる仏独等、いずれとも異なる北欧諸国、そして隣国の韓国の制度を比較検討した。
2. 見学・傍聴
東京地裁で開かれた従来の職業裁判官のみの裁判と裁判員裁判を全員で傍聴し、さらに高裁で抽選となっている裁判員裁判の控訴審傍聴にも取り組んだ。また、法務省赤煉瓦棟を見学し、「司法の近代化」と「建築の近代化」に関する史料及び司法制度改革に関する広報・啓発史料等の展示を見学した。
新聞から考える政治・経済
1.本講座のねらい
昨年度に引き続き、新聞を読み込むことをきっかけとして、社会で起きているさまざまな問題に生徒が関心を持ち、政治や経済の諸問題に対する考察や社会への提言を行うことを目的に本講座を開講した。
2.授業概要
受講生自らテーマを設定し、本校図書館の書籍や新聞、メディア学習コーナーのパソコンを活用して調査研究を行った。さらに、日本経済新聞社の学校教材用新聞配布サービスを利用し、毎時間生徒一人一人にその日の日経新聞朝刊を配布することができ、手にとって新聞をじっくり読み込む機会を持つことができた。
1学期には、生徒各自の調査研究活動に加えて、「いっしょに読もう!新聞コンクール」への応募を通して、時事問題を他者と共有したうえで自らの考えを深める作業を行った。
2 学期には、生徒各自設定のテーマに関する社会への提言という趣旨で、新聞各社への投稿原稿を作成し、3 名の生徒の意見が毎日新聞に掲載された(テーマ:「日中関係に願うこと」「解釈変更で憲法を変えるな」「国民取り残した閣議決定」)。また、今年度は、新たに「まわしよみ新聞」作成に取り組んだ。これは、4、5人のグループ毎に自分が仲間にぜひ知らせたい記事や興味関心を持った記事を切り抜き、コメントを付け足して模造紙大の壁新聞を作成し、メンバー同士で記事を共有するという取り組みである。
3 学期には、各自の調査研究活動の仕上げを行った
数学探究
1.はじめに
この講座では、自由な発想のもとで、自分の興味のある数学の分野について研究し、普段の授業のような制限時間のある中で正答を得ることに重点を置くものとは違い、のびのびと余裕をもって深めていけることを大切にしている。もちろん、自分が立てた予想が正しいかどうかを検証するには、論理で自分の考えをまとめる必要があり、自由といっても、でたらめにしてもよいという意味ではない。
2.成果と課題
今年度は2 講座で31名の生徒が受講し、様々な研究活動が行われた。主な研究テーマは下記である。
・3 次元ピタゴラス数
・フラクタル図形について
・線形計画法について
・四色問題 など
歴史や背景を調べる研究や実際に実験を行う研究、自ら立てた予想が正しいかどうかの検証を行う研究など、各々が関心を持ったテーマを設定した。2 学期には構想発表会を設け、12月には受講者全員が東京都SSH合同発表会でポスター発表を行うことができた。
また、ジュニア数学オリンピック(JJMO)には、今年度は10 名の生徒が参加した。授業時間内でも過去問を何題か扱い、まずは予選突破に向けて努力してきた。
自然科学探究の方法-基礎講座-
1.目的
理科では、自然科学の探究の方法の基礎を学ぶ機会として本講座を設定している。各自がテーマを設定し、課題を解決する学習を行う前段階として、表1のような年間指導計画で展開している。課題研究を行うにあたり、自然科学領域に共通する内容を中学3 年生段階で学んでおくことで、フィロソフィー2の課題研究への取組みが充実することを期待して、授業の研究開発を行った。本講座を開講して3 年目となり、昨年度まで課題となっていたことを改善し、今年度は実施した。
2.授業概要
今年度は、化学実験の結果やボルトの質量測定から得られた数値を用いた結果の分析や処理を取り入れた活動も実践した。
3.成果と課題
学習する内容はかなり高度であるか、生徒は主体的に取り組む姿勢が高く、講座のねらいを達成している。今年度はSSH 運営指導委員の先生方からのアドバイスも生かし、実験を行ったデータ収集、分析、解釈も活動に取り入れた。
スポーツ理論及び実習 研究授業を通して学ぶ
1.目的
本講座では、スポーツの特性を研究し、その特性を活かして生徒自身が授業を行うことでリーダーシップをとれること、コミュニケーション力、自己学習力を高めることがねらいである。
2.授業概要
○硬式テニス・・・(1)連続ラリー(2)実践的なストローク(3)フォアハンド、バックストローク(4)バックハンドストロークのコツ
○サッカー・・・(1)パス(2)シュートの正確さ
○バドミントン・・・(1)低めのシャトルを返す。(2)基本的なストローク
○卓球・・サーブを身につける。
○バスケットボール・・・(1)相手の取りやすいパス(2)ロングシュートの基本のフリースロー(3)スピードのあるドリブル
○リレー・・・(1)ブルーゾーンの存在を知る。テイクオーバーゾーンを有効に使う。(2)スピードに乗った状態でバトンパス
○バレーボール・・・(1)サーブでポイントをとれるスキル(2)オーバーハンドパス、アンダーハンドパス
3.発表に向けた取り組み
1学期では、スポーツの特性を研究し、テーマを選び、その目的を明確化することで、課題に対する意欲が引き立つように取り組んだ。
2 学期から、それぞれのテーマで、研究メンバーに何を伝えたいかを吟味し、その内容を的確に伝えられるよう授業案の作成に取り組んだ。また、実際に指導者の立場として授業を行った。
この課題研究を通して、生徒はコミュニケーションの大切さや、リーダーとして人をまとめることの難しさを知ることができた。生徒はこの研究を振り返ってそのねらいを理解することができ、今後の活動に期待できる。
Reading English-language Newspapers The Japan Times ST編集長特別講座
1.講座紹介と目的
初心者向けの週刊の英字新聞 The Japan Times STを教材として、政治、経済、科学、環境、国際関係から文化、芸能ニュース、語学学習記事まで、様々な英文記事を継続的に読む習慣をつける。様々な記事に触れることは、未知の分野に興味を持つことで視野を広げ、人生を変えるきっかけになるかもしれない。そんな出会いがあると、それを人と共有したくなり、語り合いたくなるだろう。この活動を通し、好奇心を持って世の中を見つめ、語り合うべき自分の意見を持ち、自分の言葉で表現すること、相手の意見に耳を傾け理解しようとする態度を育成することが目的である。
2.授業概要
〔1学期〕
○週刊の英字新聞The Japan Times STを毎日継続して読む習慣をつける。
○興味を持った記事についてチャット、プレゼンテーション、ディスカッションを行う。
〔2 学期〕
○ The Japan Times STの編集長による、英字新聞を活用した英語学習法についての講演会の開催。
○学年末の研究発表会に向けた研究テーマの設定を視野に入れて、新聞を読むこと・語ることを継続する。
○英字新聞の紙面の特集の企画書を作成する。
〔3 学期〕
○独自設定した研究テーマについて英字新聞作成→「The Koishikawa Times ST」の発行。
○独自設定した研究テーマについてPower Point プレゼンテーション英語発表。
Reading for Pleasure
1.目標
英語力をつけるには、“多量に英文を読み、聞き、話し、書くこと”だと言われている。英文も楽しければたくさん読めるはずだ。この講座は、英語の本を楽しんで読みその本を仲間に薦める活動を通して、英語力を伸ばすことを目標にしたものである。
2.授業概要
様々なジャンルの本を読む機会を与えるために、講座の最初に、Oxford PressとPenguin Readers の英文カタログを配布し、自由にそこから選んで読むことにした。どの本も学習者向けにレベル別に分類され書き直された読みやすい本である。
生徒は最初カタログから選んだ本を読んでいたが、次第にRoald DahlやSidney Sheldonの原書を読む生徒が出てきた。今年度はさらにJET(Japan Exchange and Teaching Program)の講師Harryさんの授業参加があり、適切なアドバイスや質問を生徒にしてくれ授業の質が向上したように思う。
毎回の授業では、順番を決め生徒の発表を行い、3月にはビブリオバトルの形で発表を行った。
3.成果と課題
生徒は読んだ本に関してbook reviewを毎回書き、英語でまとめる力をつけてきている。しかし、発表もbook reviewも本の内容のまとめだけで終わっていることが今後の課題となる。本の面白さを英語で伝える力、相手にわかりやすく伝える力、仲間の発表を聞きとり質問をする力、多量の英文を読みまとめる力、それはまた通常の英語のコミュニケーションで要求される力でもある。今後もこの講座で培っていきたいと思う。