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28 東京都立小石川中等教育学校スーパーサイエンスハイスクール(SSH)生徒成果発表会が行われました

 

平成28年度東京都立小石川中等教育学校 

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)生徒成果発表会が11月19日(土)に行われました

 
本校では、母体校である都立小石川高等学校における平成18年度から5年間のSSH指定に続き、平成23年度から都立小石川中等教育学校として5年間のSSH指定を受けておりました。今年度は1年間の経過措置期間となりますが、次年度の再指定に向けて「科学的思考力、自己学習力、コミュニケーション力を高め、国際社会に活躍するリーダーを育てる教育の研究開発」を研究主題としてSSH事業を推進しております。
そのため本校では、学校設定科目「小石川フィロソフィー」を設置するとともに、理科・数学科・情報科を中心とした「オープン・ラボ」、オーストラリア理数系授業参加プログラム等、様々な取組を行っております。
これらSSH研究の成果発表の機会として、SSH生徒成果発表会を実施しました。1学年~5学年(6学年は希望者)の生徒の前で、11組の団体が研究成果を発表しました。限られた時間の中ではありましたが、各団体の発表後には多くの質問があがりました。

~当日の発表(者)団体及び発表概要~

(1) オーストラリア理数系授業参加プログラムScience Study Tour発表
   【4年 松本 悠華、東谷 仁子、赤松 玲旺、大村 幹、邵 東尭、鈴木 遥人】
  《発表テーマ》
    Science Study Tour~オーストラリア理数系授業参加プログラム
  《概要》
    We 10, year 10 students from Koishikawa went on the Science Study Tour for 2 weeks this summer from 7 th to 20th
    August at Glenunga International High School in Adelaide, Australia. We attended mainly science classes of
    The International Baccalaureate Diploma Programme (IBDP). This year, each of us had four to six buddies, and attended
    lessons, such as Math, Physics, Chemistry, Biology and English, together with them. Also we went on some excursion,
    visiting the University of South Australia and the University of Adelaide to conduct some experiments. On the weekend,
    we visited the South Australia Museum. These experiences became great memories for all of us, and we gained a sense
    of fulfillment from them. We’d like to introduce this tour in English.
    私たち4年生10人は8月7日~20日、夏休みの2週間、オーストラリアのアデレードにある、Glenunga International High School
    で、国際バカロレアの理数系の授業を中心に参加してきました。今回はその概要と成果をお話しします。
 

(2) 小石川フィロソフィー(情報)          【5年 池澤 隆人】
  《発表テーマ》
    無線LANの危険性
  《概要》
     近年大きく問題となっているものの一つにサイバー犯罪がある。私たちに最も身近なサイバー犯罪について考えて
    みると、無線LANのただ乗りというものがある。悪意をもった第三者が、不正な方法で無線LANを介して通信すること
    であるが、調査を通して、その危険性についてのいくつかの疑問をもった。そこで私は実生活で使用する上での危険
    性という観点から現在普及している無線LAMの具体的な脆弱性を調査した。
     まず始めに現在の無線LANの暗号化方式の普及率を調べた。そのうえで以前から重大な脆弱性が確認されている
    WEPや、現状はまだ安全とされているWPA/WPA2について実際に攻撃を行うことで、それらの暗号化方式の具体的
    な危険性を検証、考察した。
 

(3) オープンラボ(数学)                   【5年 小島 知将】
  《発表テーマ》
    JMOの魅力
  《概要》
     JMO(Japan Mathematical Olympiad)は、高校生を対象とした国内の数学コンテストで、小石川からは毎年数名が
    参加しています。今回は皆さんにJMOのことを知ってもらい、もっと多くの人に参加してもらうために、JMOについて
    簡単に説明します。他の方の発表と違って研究成果発表ではないので気楽に聞いていただきたいです。
     中学生も数年後にはJMOの予選に参加できますし、中学生向けのJJMO(Japan Junior Mathematical Olympiad)も
    あるので、興味のある人は是非過去問を解き、JMO、JJMOに参加してみましょう!
 

(4) オープンラボ(数学)         【5年 青木 俊輔】
  《発表テーマ》
    結び目の判別とその簡略化
  《概要》
     ある結び目の射影図が与えられたとき、それにただ一つの多項式(ブラケット多項式)を対応させることができる。
    しかし、交点数が増えれば増えるほど、式を求める過程が長くなっていく。そこで、単純なひねりを加えられたときに、
    式がどのように変化するかを調べて、求める過程を簡略化した。
 

(5) 小石川フィロソフィー(体育・理科) 【4年 八巻 夏葉、山田高嶺】
  《発表テーマ》
    色と記憶力の関係について・感染症~飛沫感染実験~
  《概要》
     文字の色と記憶力の関係について、現在、青色の文字が一番覚えやすいとされている。しかし、私たちはこのことを
    疑問に思った。本当に青が一番覚えやすいのか?それ以外の色の方が覚えられるのではないだろうか?3年時の小
    石川フィロソフィー1(理科)では色と記憶力の関係について研究することにした。
     青、黒、黄、赤の4種類のアルファベット32文字を3分でどれだけ記憶できるかを記録した。その際に実験協力を得
    た人たちにその日の睡眠時間を聞き、睡眠時間と記憶力の関係についても調べた。この実験を経て、「人」について
    興味をもったので、4年ではジャンルを変えて保健体育分野の講座を選択した。ここでは興味をもっていた感染症につ
    いて研究したいと考え、飛沫感染について調べることにした。方法として、1学期は床に模造紙を敷き、被験者にくしゃ
    みをしてもらい、その飛距離などを調べた。2学期は壁に日本人平均身長の人型を書いた模造紙を貼り、40cm離れ
    た場所からくしゃみをしてもらい、どの部分に飛散したのかを記録し、考察した。
 

(6) 小石川フィロソフィー(体育)      【4年 清水 茜】
  《発表テーマ》
    ガムを噛むことによって集中力はUPするのか
  《概要》
     最近、プロ野球選手やサッカー選手がガムを噛みながらプレーをしている姿を見ることが多くなった。1学期にフィ
    ギュアスケートについての研究を行っていたが、この競技では集中力を高めるためにガムを用いることはしていなかっ
    た。では、ガムを噛むという行為は「集中力が増し、競技パフォーマンス向上につながる」と言われているが、本当に
    集中力はUPするのか?という疑問をもった。そこで私は集中力テストというものを用いて、パフォーマンスが向上する
    のかをガムを噛まない場合と噛む場合に分けて実験を行うことにした。ガムをミント・ブラック・フルーツの3種類に分
    け、味の違いによっても集中力が上がりパフォーマンスに差異が出るのかを考察した。
 

(7) オープンラボ(化学研究会)     【5年 甲斐 恒成、星 悠樹】
  《発表テーマ》
    シュウ酸エステルと過酸化水素による化学発光に関する研究 ~温度の違いによる発光量の計測~
  《概要》
     ケミカルライトの発光現象に興味をもち、研究を始めた。今回、検討した化学発光は、以下の通りである。

 
     シュウ酸 ビス[3,4,6―トリクロロ-2―(ペンチルオキシカルボニル)フェニル]と過酸化水素との酸化還元反応によっ
    て、光エネルギーが発生する。発生した光エネルギーによって、蛍光物質(エオシンY)からオレンジ色の可視光が生
    ずる。
 

(8) 小石川フィロソフィー(国語)    【4年 楊 悠琦】
  《発表テーマ》
    政治報道と受け手のあり方 ~TPP報道から考える~
  《概要》
     「新聞は社会の木鐸(ぼくたく)たれ」という言葉がある。木鐸とは、昔中国で法令などを人民に触れて歩くときに鳴らしたもの
    で、ここでは転じて、世人に警告を発し教え導くものであれ、という意味となる。新聞をはじめとして、報道を担うメディ
    アは、人々が直接は知ることのできないことを知るための窓口となり、政治や権力者を監視する役割を持つ。では、そ
    の報道の内容や仕方に対してしっかりと監視役を果たすべきは誰なのかというと、我々受け手である。その受け手の
    よりよい在り方とは何か。 
     本研究では、「TPP」を題材とし、それに関する新聞報道の検証を通して、政治報道の在り方と受け手の在り方につ
    いての考察を行った。安倍政権における「TPP」政策に関する報道は、長期的に追うことのできる題材である。予備研
    究として、「集団的自衛権の閣議決定」に関する報道を新聞各7社で比較したところ、安倍政権に対して批判的に報道
    する新聞社と肯定的に報道する新聞があり、その程度もさまざまであった。安倍政権に比較的厳しい目を向けている
    のは朝日新聞社であるが、その朝日新聞における2012年から2016年にかけてのTPP関連の報道内容を調べる
    と、政府の進めるTPP政策に対する賛否のニュアンスが変化していることがわかった。また、その報道姿勢の変化
    と、世論の変化も相関関係にあるといえるのではないかと考える。これらの報道の検証を通して、政治報道と、その受
    け手のよりよい在り方について考察した。
 

(9) 小石川フィロソフィー(地学)    【5年 鈴木 彩恵、4年 村山 士竜、髙山 健太朗、横山碧】
  《発表テーマ》
    地学研究の紹介、赤羽自然観察公園の湧水について2
  《概要》
     今年度の地学研究7名の研究と途中経過を簡単に紹介する。(髙山 健太朗・横山 碧)
     昨年度の鈴木彩恵が研究した「赤羽自然観察公園の湧水について」の研究を村山士竜が引き継ぎ、まとまった降雨
    後に5日間連続して流量調査を行った。また、流量観測については、昨年度行った方法と、袋で採水する方法を比較
    した。これらの結果について、中間報告を行う。
 

(10) オープンラボ(生物研究会)           【5年 金丸 明日香、2年 太田 紫菫、山田 彩斗、川端  倫太朗】
  《発表テーマ》
    小石川中等教育学校近郊の野外観察
  《概要》
     生物研究会では、活動の一環として小石川周辺の動植物について調べています。調査は徒歩で行くことのできる六
    義園や小石川植物園をはじめ、校舎周りや生物室に隣接している庭で行なっています。小石川のような都会にあって
    も、多くの樹木や草本が植えられているこのような場所では、多くの動物が集まり今の小石川周辺の環境を作ってい
    ます。今回は、この環境を構成する以下のような動植物を紹介します。
     ・野鳥  ・土壌動物  ・昆虫や四季の花  ・陸貝
 

(11) オープンラボ(物理研究会)      【6年 森田 瞭平】 
  《発表テーマ》
    物理チャレンジ
  《概要》
     私は今年の夏に物理チャレンジに参加してきた。今回の発表では、物理チャレンジの第一チャレンジから第二チャレ
    ンジまでを紹介する。第一チャレンジでは、全員が理論問題の筆記試験のほかに、実験レポートを作成する。自分で
    データのまとめ方を考え、考察をすることは学校で課されるレポートと変わりはないが、物理チャレンジでは、実験方
    法そのものを自分で考えなければならない。こうしたことを経験できるので、第一チャレンジで実験レポートを作成する
    ことは将来にとって大きな力になると思う。第二チャレンジは3泊4日の合宿形式で行われ、実験および理論試験に取
    り組む。私は試験以上に、物理学の教授や、全国の物理好きの高校生と交流する中で大きな刺激を受けた。夜に同
    じ班になった人とトランプや物理トークをして夜更かしをするのも非常に楽しかった(これがメインイベントといっても過
    言ではない)。学校の物理の授業だけでは少々物足りない人、物理好きの人、また発表を聴いて少しでも興味をもっ
    た人はぜひ物理チャレンジに参加してみてほしい。何事も「チャレンジ」あるのみ!
 

※朝日中高生新聞2016年11月27日付7面「学びなないろ 科学的思考力持つリーダーに」の記事に掲載されました。

 

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