3学期始業式
1月8日、3学期始業式を行いました。
以下、校長先生の講話です。
明けましておめでとうございます。
年が明けてどんな年始を過ごしたでしょうか。今年の目標を立てた人はいますか。昨年の反省をもとに今年の目標を立てた人、今年やってみたいことに向かって目標を立てた人、新生活に向かって目標を立てた人、大きな目標を立てた人、目の前の小さな一歩をクリアするための目標を立てた人、色々と目標を立てたかと思います。まずは目標達成に向けて着実に進んでみてください。
さて、新年で話題といえば箱根駅伝。駅伝はタスキをつないでいくチームスポーツ。毎年いろいろなドラマや話題があります。今年の箱根駅伝は往路が東洋大の優勝、復路が青山学院大の優勝、でも総合優勝は東海大でした。区間賞の数では全10区間のうち4区間で区間賞をとったのが青山学院、2区間で区間賞をとったのが東洋大、総合優勝した東海大の区間賞は1区間だけでした。たとえスター選手やとびぬけた選手がいなくても勝てることを証明しました。なぜ勝てたのか。お互いを信じ仲間を信じつないだからこそできた優勝でした。もう一つ、日ごろのたゆまない努力です。各チームも同じように努力をしてきたでしょうがそこには工夫があり、信頼があったといわれています。他校の良いところから学び、さらに工夫を加える努力、それがチーム力となって出た結果だと思います。
もう一つ、新年に向けて「学び」ということについて考えてみました。「学ぶ」のイメージはどんなイメージでしょうか。多くの人たちは「学ぶ」を「教わったことを覚える」と思っていないでしょうか。確かに間違ってはいない。でもそれは知識を集積していることでもあります。では幼児が日本語を覚えるのはどうであろうか。本能や環境で教わっていなくても自然に学べるのも「学ぶ」です。本能的に生きていくために身に着ける学びです。
それでは人間が成長するときに得る「学び」の本質はどんなことでしょうか。「学び」は覚えることだけではなく「考えること」にあるのす。今の時代、知識だけを増やしていって沢山の知識があります、ではなかなかやっていけません。知識だけであればPCのほうがずっと沢山のことを知っていることになります。知りえた知識を基にどれだけ考えるかが「学び」になるのです。逆に言うと知識無くして「深い学び」は無い、ということになります。
今年の正月からの新聞で「考える」をキーワードに気になったことをいくつか挙げてみます。
○AIと考える力
これはここ数年のキーワード。AI技術の進歩は常に話題に上がっている。人間の能力を上回るとされているAIの登場により人はどうすべきなのか。AIを生み出したのは人。それを考えたのも人。AIの登場により人間社会が大きく変わると言われています。その変化に対応していくのも人の考える力です。これから先、AI(機械)にないもので人が持っているもの、感情や直感の有効的な活用も必要か。機械と同じ発想ではなく時には感情や直感を頼りにすることも必要か。
○原発事故から農地再生・活用を目指してのバイオマス発電
これは農業復興の進まない福島県の農地を活用しての発電システムの構築を目指しての事。活用されていいない農地で発酵に向いている家畜用飼料を育てそれをベースにメタンガス発酵を行い、発電タービンを回し発電するというもの。更には収穫後の根や茎の一部を畑に漉き込んで畑を復活させようとする狙い。
これには発酵の知識や発電の知識、農業の知識など様々な分野の知識の集積が必要となる。
○厚底シューズで記録更新をしているマラソン界のニュースもある。それまで厚底は重さなどの観点から不利とされてきた。しかし常識にとらわれず開発した厚底シューズは反発力に優れ有効な推進力を生むシューズとして高評価を得ることになった。
○ダウンスイングとアッパースイング
昭和のスター、王選手に代表されるダウンスイング。ボールの芯をしっかりととらえてたたきつけるように打つのが最善とされてきたバッティング。それが今はアッパースイングが見直され評価を高めている。野球の花、ホームランの量産にはボールの下をたたきすくい上げるアッパースイングのほうが効果的。
今までの概念に惑わされることなく新しいことに挑戦するためには何が必要なのか。そんなことを考えさせられる記事が沢山ありました。
諦めることなく粘り強く、新しい発想で切り開いていく力を養うことの重要性、人間本来の考える力を再認識させられる新年の記事でした。
自分の考えを人に伝え、その先にまた新しい考えや答えがある。否定されながらも諦めずに伝える、話し合う。その繰り返しにより新しいものは生まれてきました。考えること、考える力とコミュニケーションが現代の社会の中で最も求められることになります。
高校生である君たちが今できることは考えることのベースとなる知識を蓄えることです。その知識を積み重ねた先にあるひらめきや直感が新しいものを生み出し、新しい社会につながることになります。幅広い知識でなくてもいい、一つのことでもいい、その分野ではきちんと対応できるだけの知識とスキルを身に着けてほしい。そのために高校時代に学びを深めてほしいと考えた新年でした。
みんなの今年1年の頑張りに期待します。あきらめない姿勢、粘り強い姿勢で取り組んでくれることを期待しています。
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